採用活動は、単に求職者への情報提供を行なうだけではなく、企業の魅力や文化を伝える大切な機会でもあります。特に中小企業では、大手に比べてブランドの知名度が低く、採用に課題を感じている人事担当者も多いのではないでしょうか。

そんな中で、採用に関する動画「採用動画」を活用することで、文字や静止画では伝えきれない企業の魅力や雰囲気を伝えることが可能となります。本記事では、採用動画のメリットやその活用法、そして制作時のポイントについて事例も交えながら詳しく解説していきます。

1.採用動画とは

採用動画は、企業が求職者へ向けてその魅力や働く環境、社員の声などを動画で伝えるためのツールとして近年注目を集めています。テキストや静止画よりも情報伝達の効果が高く、視覚や聴覚を刺激することで企業のイメージや文化をより直感的に伝えることができます。特に若い世代にとっては、Youtube、TikTokをはじめとしたSNSなど、動画で情報を得ることが一般的となっており、採用情報・企業情報も動画で知ることが求められるようになってきました。

2.さまざまな形式の採用動画

採用動画はその目的や内容により、さまざまな形式で制作されています。以下は主な種類とその内容です。

<種類>
・テレビCM
・ショートムービー
・自社紹介ムービー
・ドキュメンタリースタイル
・アニメーションスタイル

<内容>
・インタビュー形式
・部署紹介形式
・工場見学形式
・スタッフ紹介形式

それぞれ簡単に説明します。

採用動画の種類

・テレビCM
短い時間（多くの場合15秒〜30秒）で企業の魅力や募集職種、企業文化などをアピールする形式。一般的なテレビ視聴者をターゲットにした広告として放送されます。

・ショートムービー
TikTokやYoutube、Instagramのストーリーズなど、SNS向けに作成される短い動画。数十秒程度のコンテンツで、視聴者の注意を引きつける要素が求められます。

・自社紹介ムービー
企業の公式ウェブサイトや求人サイトでの公開を主に目的としたもの。2分〜5分程度の動画が一般的で、企業のビジョンやミッション、社員の声などを盛り込みます。

・ドキュメンタリースタイル
一般的なドキュメンタリーよりも短い、数分から十数分程度の動画。ある特定のテーマやトピックに焦点を当てて、深く掘り下げた内容を提供します。例えば、新しいプロジェクトの背景やチームの日常、新製品の開発過程などが題材として考えられます。

・アニメーションスタイル
イラストやキャラクターを使用して、楽しく情報伝達する形式。独自の世界観を持った動画が制作でき、印象に残りやすいです。企業の公式キャラクターがある場合は、活用しやすい場合があります。

採用動画の内容

・インタビュー形式
社員や経営者へのインタビューを中心に構成される形式。社員の生の声や経験を通じて、実際の仕事の内容や企業の文化、働く魅力を伝えます。

・部署紹介形式（案内スタッフによる）
各部署の業務内容や日常を、案内スタッフが紹介しながら進める形式。部署ごとの雰囲気や特色を具体的に感じ取ることができます。

・工場見学形式（案内スタッフによる）
主に製造業で取り入れられる形式。製造ラインの様子や商品の生産過程など、通常は見ることができない裏側を紹介します。

・スタッフ紹介形式
社員一人一人を紹介する形式。社員の趣味や特技、業務内容、入社のきっかけなど、プライベートな情報も交えて人柄・社風を伝えることができます。

これらの形式を選ぶ際には、企業のブランドや求める人材像、伝えたい情報に合わせて適切なものを選ぶことが大切です。

また、ターゲットとする求職者によってもその種類や内容は異なってきます。例えば、ある特定の専門職の人材を対象にした場合や企業の取り組みを深く理解してもらいたい場合には、数分～十数分の少し長めの動画が適している可能性もあります。

一方、広範囲な求職者をターゲットとする場合や、SNSなど短時間での情報伝達が求められる場合には、拡散も期待できる数十秒程度のショートムービーやテレビCM形式が効果的でしょう。

こちらは特別養護老人ホーム 高雄苑様のリクルート用動画。職員さんにインタビューを実施し、働く様子や介護業務のやりがいなどを具体的に伝えています。

3.企業紹介・人材確保に採用動画がよく用いられる理由

採用動画は、近年の採用活動において欠かせないツールとなっています。多くの企業がこの手法を導入している背景には、以下のような理由が挙げられます。

画像・文章よりも情報量が多い

動画は、視覚や聴覚を同時に刺激するため、一つのメディアで多くの情報を伝えることが可能です。さらに、表情や声のトーン、背景音楽など、様々な要素を活用してメッセージを強化することができます。

採用のミスマッチ防止につながる

文章や数字だけでは伝えきれない企業の雰囲気や、実際の仕事の様子、社員の人柄といった”感じる”情報を直感的に伝えることができます。特に、企業文化や働き方、チームの雰囲気といった要素は、求職者が入社を検討する際の大きな判断基準となります。また、このことは結果的に採用のミスマッチにも繋がります。

差別化とブランディングに有効

採用動画を活用することは、競争が激しい採用市場において、他の企業との差別化を図る強力なツールとなります。動画を通じて、単なる企業の紹介を超えた独自のストーリーやメッセージを伝えることで、企業のブランドや価値観を際立たせることができます。このブランディング戦略は、特定のタレントやスキルを持つ求職者を引き寄せる効果も期待できます。

例えばこちらは株式会社イワシタ様の企業紹介動画。企業の概要や、実際の工場・業務内容を臨場感のある映像でスピーディーに紹介しています。

動画に抵抗のない方が多い

スマートフォンの普及やYouTube、TikTokといった動画プラットフォームの流行により、多くの人々が動画コンテンツを消費することに慣れています。特に若い世代にとって、動画は情報収集の主要な手段となっており、採用情報も動画で確認したいと考える人が増えています。

4.採用動画の効果的な活用法

採用動画は制作して終わりではありません。その目的やターゲットによって、活用方法も異なります。以下では、主な活用法をご紹介します。

SNSでの活用

多くの企業は、採用動画を自社の公式YouTubeチャンネルやFacebook、Twitter、LinkedInなどのSNSにアップロードし、広める戦略を取っています。これにより、動画が求職者や一般のユーザー間でシェアされ、より多くの人々の目に触れる機会を増やしています。

また、YouTubeの広告やFacebookの動画広告として採用動画を流すことで、ターゲットとなる層に直接アプローチする事例もあります。

こちらは株式会社ウララコミュニケーションズのYoutubeショートを活用したショートムービー。スタッフが社内を案内しながら企業の魅力を紹介しています。縦型なのでInstagramのリール、TikTok等にも汎用が可能です。

公式サイト・販促物での活用

採用動画を企業公式サイトのトップページや採用ページなど、目立つ位置に配置することで、サイト訪問者の注目を引き、求職者へのアピールを強化できます。また、公式サイト以外にも、名刺や会社パンフレットなど、印刷物にQRコードを載せることで、スマートフォンを使用してすぐに採用動画を視聴することができるようにすることも有効な手段です。

新卒・転職フェアや合同説明会など、採用活動の場で直接動画を上映することも効果的です。リアルタイムで求職者の反応を確認し、後のQ&Aセッションや面接へのリードにも繋がります。

社内オリエンテーションでの活用

新入社員が入社する際のオリエンテーションで、採用動画を利用することで、企業のビジョンやカルチャーを分かりやすく、効果的に伝える事例も見られます。

これらの事例を参考に、自社の採用戦略やターゲットに合わせて最適な活用法を選択することが重要です！

5.採用動画の制作方法・ポイント

採用動画の制作に関しては、その品質や表現方法によって企業のイメージが大きく左右されるため、さまざまなポイントが挙げられます。以下、主要なポイントとそれに関連する内容を解説します。

ターゲットを明確にし、具体的なイメージを提供する

制作する動画のターゲット層を明確に定義することで、どのような内容やメッセージを伝えるべきかの方向性が見えてきます。例えば、エンジニアをターゲットとする場合、技術的な内容や開発環境をアピールする内容が求められるでしょう。

また、実際の社員の声を採用動画に取り入れることで、企業の文化や雰囲気、価値観を具体的かつリアルに伝えることができます。これにより、求職者は企業やその職場環境についてより深く理解し、自分がどのようにフィットするかを具体的にイメージできるようになります。

求職者、閲覧者目線に立つ

閲覧する立場になって制作することが重要です。ポイントを3つ簡単に記載します。

・映像のクオリティを保つ
低品質な映像や音声は、企業のイメージを損なう恐れがあります。適切な機材や照明、編集技術を用いて、高品質な動画を制作することが大切です。

・適切な長さにする
ターゲットにもよりますが、長すぎる動画は視聴者の興味を失わせる原因となります。一方で、短すぎる動画では情報が不足する可能性があります。目的や配信するメディアに合わせて、適切な長さを選ぶことが重要です。

・アクションコールを設ける
動画の最後に、何らかのアクション（例：「詳しくはウェブサイトをチェック！」など）を促すメッセージを入れることで、視聴者の次のステップを導くことができ、リードに繋がる可能性が広がります。

以上、ポイントを解説しましたが、動画制作は専門的なスキルや機材が必要となる場合が多いため、自社での制作が難しい場合は、外部の制作会社や専門家に依頼することも一つの方法です。

6.まとめ

採用動画は、企業紹介や人材確保に欠かせないツールとして広く認識されています。動画を活用することで、文字や静止画では伝えきれない企業の魅力や文化、スタッフの人柄を効果的にPRすることができます。採用動画の中には、インタビューや部署紹介、工場見学、スタッフ紹介など、多岐にわたる内容やフォーマットが存在します。

成功する採用動画制作の秘訣は、明確なターゲットの設定、ストーリーテリングの導入、実際の社員の生の声を取り入れることにあります。高品質な映像と適切な長さの動画は、企業イメージの向上とともに、求職者の興味・エンゲージメントを高める役割を果たします。今後、企業がさらに競争力を持つためには、これらのポイントを活かして、効果的な採用動画を制作・活用することが求められるでしょう。

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