転職理由を考えるときのポイントと注意点|履歴書に書く例文も紹介


中途採用の採用面接では、多くの場合転職理由を聞かれます。理由そのものや回答の仕方は採用可否に影響を与えるため、転職理由はあらかじめ考えて面接対策しておきたいものです。

採用担当者がなぜ転職理由を聞くのか把握し、意図に沿った回答をすることがポイントです。転職理由を聞くのはなぜか、そして面接ではどのように答えればいいのかを解説します。




1.転職理由はなぜ聞かれるか


ズバリ、採用担当者が面接で転職理由を聞くのは、以下のためです。

  • 応募者の人柄やモチベーションを確かめる
  • 転職理由と同じ理由で採用後退職しないかどうか確かめる

企業側としては、応募者が自社に貢献できるかが重要な点です。例えば、退職理由が「ステップアップ」や「キャリアアップ」、「希望していた職種」など前向きな内容であると、採用後も高いモチベーションを持って仕事にあたり、会社へ貢献してくれると考えられます。

また、採用したらできるだけ長く働いてほしいものです。そのため前職を退職したきっかけが「給与」「残業」「人間関係」などであると、「自社で同じ状況になった場合も退職するのではないか」と懸念します。

このようなことが、企業は面接で退職理由を尋ねる理由です。この質問に答える場合は、本音100%や転職サイトのテンプレートそのままではなく、自分の言葉で前向きに回答する必要があります。

2.よくある転職理由と注意点


転職理由としてよくあるのは以下の3つです。

  • 収入を上げたい
  • 人間関係に不満
  • 企業の将来性が不安

雇用される側としてはもっともな理由ですが、採用面接で上記の理由をそのまま伝えると採用合否に関わるリスクがあります。伝え方の工夫と注意点を見てみましょう。

収入を上げたい

「転職の理由はなんですか?」と聞かれて、「収入を上げたいからです」と素直に答えるのは考えものです。前職で年収が低いのが不満だとして退職したとなると、「自社でも同じ理由で退職するかもしれない」と警戒されます。

「生活のため」という理由だとしても、後に給与の高い転職先が見つかると退職してしまうのではないかという懸念されるでしょう。また、不満ばかり言う人物だと見られるおそれもあるのです。

年収アップを理由にするならば、年収増加に値するだけ転職先で活躍できることを理由に組み込む方法があります。例えば「売上と評価が直結している会社で働きたい」など、具体的な実績や理想の姿などを組み込むと、説得力が増します。ただし「前職は自分を正しく評価してくれなかった」などと、ネガティブな言葉は避けましょう。

人間関係に不満

人間関係に不満があることから転職する人も多く見られます。ただし面接で理由をそのまま答えるのは控えましょう。

仕事をすれば人と接し、多くの職場では人間関係は発生します。人間関係を転職理由にすると、採用しても同じ理由で辞めるのではないかと思われてしまう可能性が高まるからです。また人間関係でトラブルを起こしやすい人間ではないかとも受けとられかねません。

どうしても理由にしたいなら以下のようにアレンジしましょう。

  • キャリアや志望動機と結びつける
  • 人間関係で不満なときの解決方法も答える
  • 人間関係の不満を理由に自己成長へと意欲を示す

例えば、ワンマンな上司に不満があって退職した場合は「自主性を発揮したい」、同僚と仲が悪かったなら「周囲と連携したい」などと言い換える方法もあります。

企業の将来性が不安

「企業の将来性が不安だった」と答えた場合も、入社後に同じ理由で退職しないかと思われてしまう可能性もあります。また他責的な理由であるため、採用担当者に対してマイナスイメージを与えかねません。「努力の余地はあったのではないか?」と見られてしまうこともあるからです。

将来性に不安があったなら、どの部分がそう感じたのかを明確に伝えます。例えば赤字経営が続いていたら、採用担当者も納得するでしょう。また、不安を解消するために何を行ったか、どんなビジョンを持っているかも伝えるべきです。

例えば「新規顧客開拓の企画を経営層へ提案したが受け入れてもらえなかった、前職でできなかったことを御社で実現したい」などの回答が考えられます。



3.転職理由を考えるときのポイント


転職理由を伝える際は、採用担当者がマイナスイメージを持たないように表現や内容に注意が必要です。理由を考えるときのポイントは以下の3つです。

  • 嘘はつかない
  • ネガティブな内容は伏せる
  • 内容に一貫性を持たせる

嘘をつく、不満を抱く、後ろ向きな発言ばかりする、人のせいにするなどの発言が見られると、「採用後に同じような行動をとるのではないか」と思われて採用を見送られかねません。次からはそれぞれの理由を詳しく解説します。

嘘はつかない

採用担当者や面接官から好評価を得ようと、嘘の理由を答える方も少なくありません。もしも嘘をついていた場合に、面接のなかで他の質問とつじつまが合わない点が出てしまうと、怪しいと思われて不信感を持たれます。

転職理由は正しく答えるべきですが、もしも答えにくい転職理由であれば、「理由を言い換える」「直接的な表現を避ける」などの工夫を講じましょう。

ネガティブな内容は伏せる

また、転職理由を本音でそのまま言う必要もありません。前職の会社を辞めた理由を何から何まで言うのは、不採用となるリスクが高まるからです。

具体的には人間関係に関する理由は伏せるべき内容です。セクハラやパワハラの被害なども、面接時に言って採用官が納得できなければ避けた方が賢明です。

前職を辞めた理由に不満があれば、そのまま言わず改善して自分から行動したという内容を盛り込みましょう。改善を試みたけど改善できなかったという内容でも構いません。ポジティブに行動したということが大切です。

また、採用された後でも、同僚に退職理由を尋ねられることもあります。この時もネガティブに捉えられる内容や、不平不満と捉えられる内容は伝えない方が無難です。

内容に一貫性を持たせる

答える内容に一貫性がなかったり、履歴書と面接での回答内容が一致しなかったりすると、「採用されたいために嘘を言っているのではないか?」と採用担当者が不信感を持ちます。

履歴書での志望動機と転職理由はほぼ必ず確認されるため、書類作成時や面接時に答えられるような内容を考えておきましょう。内容によっては、面接の際に話を広げられるきっかけ作りにもなります。

また、転職の理由をポジティブな内容で一貫させるのもポイントです。前職で不満があったとしても、自分のキャリアプランや将来の目的を達成するために問題となっていたためと考えると、ポジティブな転職理由ができあがります。

例えば、「長時間勤務や残業が多くて不満だった」という理由であったが、「前職ではなかなか自分の時間を作り出せず、資格や技術の勉強時間がとれなかった」などの理由に言い換えるのです。

この場合は転職することで目的を達成でき、不満を解消できるという、前向きかつ一貫性もある回答となり、面接者の納得感を得られるでしょう。



4.転職理由の例文


転職理由はできるだけネガティブな内容は避けるべきですが、実際にどのように答えればいいのでしょうか。ここでは以下の理由について例文をご紹介します。

  • 年収アップ
  • キャリアアップ
  • ワークライフバランス

ただしいずれもそのまま使用するのではなく、方向性や表現などを参考にする程度にしてください。

年収アップ

年収アップを理由する場合の回答例です。

「前職で給与が低かったのが転職理由です。給与アップが見込めないために転職を決意しました。40歳近くになり、将来の蓄えに備えておかないといけないと考え、評価と給与が直結した御社で働きたいと思っています。御社はインセンティブを導入しており、将来のビジョンも明確であり、私自身御社に貢献しながら自信のキャリアアップを図りたいです。」

年収アップが必要だという根拠を伝えるのがポイントです。前職で給与が低くても愚痴や批判となる内容は避けましょう。また自分のアピールばかりでなく、企業にとって採用するとメリットがあるという部分も含ませておくと好印象です。

キャリアアップ

キャリアアップを理由する場合の回答例です。

「業務系システムの企画リーダーをしていました。仕事にやりがいは感じましたが、年功序列であったために役職者になるまでのキャリアに時間がかかります。早くマネージャーとしてキャリアを実現したいために、新しい就職先を探しています。御社は実力で評価を行うと伺っており、1日も早く成果を出してマネージャーになり技術強化に尽力したいです。」

ただキャリアアップしたいと言うのでは相手に伝わりません。具体的にどのようなキャリアを目指したいのかを伝えましょう。具体性があると、採用担当者も採用後にどのような業務・役割・ポジションを与えるかをイメージしやすくなるからです。そのため、応募先で実現できるキャリアアップを盛り込むといいでしょう。

ワークライフバランス

長時間勤務やサービス残業などが多いと、仕事と私生活のワークライフバランスを理由に転職する方がいます。このワークライフバランスを理由する場合の回答例です。

「前職での年収は高く仕事にやりがいを感じていましたが、帰宅は深夜になり休日出勤も多くありました。子どもが生まれるので、休日休める会社で働きたいと思い転職を決意しました。御社の残業時間は平均10時間と聞いており、また土日は休めるようなので、御社を志望しました。」

回答のポイントとしてまずはワークライフバランスを整えてどうしたいのか?を転職理由に入れます。なぜ前職でワークライフバランスを取れなかったかも答えましょう。前職の勤務時間については批判にならない程度事実を述べるのが良いでしょう。さらに応募した企業ではなぜワークライフバランスを取れるかを答えるのがベストです。

5.まとめ


転職理由は、面接で必ずと言って良いほど尋ねられる質問です。理由を答えるときは嘘をつかず真摯に答えるべきですが、正直過ぎるのも考えものです。志望動機と転職理由に一貫性を持たせたうえで、全体的にポジティブに前向きな内容で答えましょう。

良い退職理由にまとめられない場合は、転職エージェントの人材コーディネーターに相談するのも一つの方法です。

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