人材獲得競争が激化している昨今、採用パンフレットの重要性も増しています。求職者は会社説明会などでたくさんのパンフレットを手にするため、その中で自社をアピールするにはパンフレットに差をつける必要があるからです。
優秀な人材を獲得したいと考える採用担当の方は、この記事を求職者のモチベーションをあげる魅力的なパンフレットの作成にお役立てください。
Contents
1.採用パンフレットとは
採用パンフレットとは、企業が求職者の入社を促すために作成する紙媒体のツールで、自社の魅力をアピールするために、会社説明会や就職フェアで配布されます。自社へ興味を持った応募者へ渡す資料であるため、応募者のモチベーションを高めてエントリーを後押しする強力なツールを言えます。
また、サイトを開かなければ見ることができないWeb媒体とは違い、気軽に持ち運べて、パソコンがなくとも閲覧が可能です。応募者が家族などへ相談する際にも活用しやすい説明資料にもなるのです。
会社案内との違い
採用パンフレットと似た「自社をアピールする紙媒体」として「会社案内」があります。会社説明会や就職フェアで学生に会社案内を配布する企業も多いでしょう。しかし会社案内と採用パンフレットでは、対象者と目的が異なる点に注意が必要です。
採用パンフレットは「求職者に向けて応募を促すために作成されるツール」ですが、会社案内は「新規顧客や取引先に向けて、自社の商品やサービスをアピールするためのツール」です。そのため、会社案内には求職者が知りたい内容が記載されておらず、読んでも応募動機にならない場合もあります。
2.採用パンフレットの目的
採用パンフレットは求職者に自社の魅力をアピールするために作成します。具体的な目的は以下の2つです。
・企業の魅力を発信する
・求職者の疑問を解消する
ここではそれぞれについて解説します。
企業の魅力を発信する
採用パンフレットの目的は、求職者が自分のこととして捉えられる企業の魅力を発信することです。
採用パンフレットのターゲットは求職者ですから、その内容は商品やサービスなど自社のアピールだけでは足りません。求職者が入社して働いている自分の姿をイメージできる内容、かつ「この会社で働きたい!」と思わせる内容を発信することが大切です。
例えば、社会における自社の役割を踏まえた企業理念や、創業からのドラマチックな沿革などを記載すると、共感した求職者からの応募が期待できます。また、第一線でいきいきと活躍する若手社員の姿をレポートすれば、求職者は自分が入社した姿を具体的にイメージしやすくなります 。
また、企業理念やCSR(企業の社会的責任)なども忘れずに掲載しましょう。「自分の仕事が人の役に立っている」という意識は大きなやりがいやモチベーションにつながるからです。
実際に、2021年卒業の新卒者が就職先を決定した理由として最も多かったのが「社会貢献度が高い」というデータもあります。採用パンフレットにも、「この会社に入れば社会貢献ができる」ことをしっかりと伝えるコンテンツを含めるのは重要だと言えます。
求職者の疑問を解消する
採用パンフレットのもう一つの目的は求職者の疑問を解消することです。
求職者はさまざまな疑問や不安を抱えています。特に会社での就労経験がない就活生は、入社したあとの自分をイメージすることが難しいものです。
・入社したらどんな仕事をするの?
・どんな人材が求められているの?
・社員はどんなふうに働いているの?
パンフレットを読むことでこのような疑問が解消されれば、安心して応募することができます。有効なコンテンツは、先輩社員のインタビューや1日のスケジュール、部署ごとで歓迎されるスキルや能力などを掲載するなどです。
3.採用パンフレットのメリット・デメリット
近年ではインターネットで手軽に求人募集を出せます。しかし採用パンフレットの作成・配布は、紙媒体ならではのメリットがあるのです。一方デメリットもないわけではないので、採用パンフレットが自社の採用活動に適しているかをよく検討しましょう。
メリット
魅力的な内容の採用パンフレットは、志望意欲を向上させます。求職者は企業を求人サイトで「認知」して、会社説明会や就職フェアに参加することで「興味・関心」を抱きます。興味・関心が芽生えている求職者のほとんどは、会場で配られたパンフレットを開いて中身を読むでしょう。パンフレット内で求職者の不安や疑問をわかりやすく解消できれば、興味・関心をアップさせて「この会社で働きたい!」というモチベーションを高めることができます。
また、紙媒体である採用パンフレットは、手軽に何度も見返せるのが特徴です。説明会から帰宅後に見返す、あるいは家族や友人と一緒に見て話し合うなどの機会が増え、応募者の興味・関心を維持しやすくなります。
さらに、採用パンフレットは入社後の定着率向上という効果も期待できます。パンフレットを熟読し、会社をよく理解したうえで応募した求職者は、入社後に「こんなはずじゃなかった」などのギャップを感じることが少ないからです。
採用パンフレットで会社のありのままの姿を伝えることができれば、採用のミスマッチを防げます。これは採用コストの削減にもつながります。
デメリット
サイトを訪問すれば誰でも情報を得られるWeb媒体と違い、紙媒体である採用パンフレットには「対面でしか配布できない」というデメリットがあります。コロナウイルス感染対策などにより、オンラインでの会社説明会も増えており、採用パンフレットを配る機会はさらに減っているのが実情です。
また、情報の更新がしにくいのもデメリットです。Web媒体なら最新の情報を簡単に更新できますが、紙媒体の採用パンフレットが情報を差し替えるには印刷をやり直さなければなりません。つまり採用パンフレットを更新するにはWeb媒体よりも時間とコストがかかるのです。
4.採用パンフレットに掲載する情報
採用パンフレットには、上述した目的である「企業の魅力を発信する」「求職者の疑問を解消する」に沿って、求職者が知りたい情報を掲載することが大切です。ここでは掲載すべき項目を解説します。
事業内容
求職者が最も知りたいのは「入社後にどのような仕事をするのか」ということです。専門用語は避け、写真やイラストで視覚化し、就業経験のない就活生にも理解しやすいように工夫しましょう。さらに事業を遂行するなかでどのような人材を求めているのかを明記すると、「入社後の自分」をイメージしやすくなり、応募への動機が高まります。
また、求職者にとって「この会社で働く意義」「仕事を通じて成長できるかどうか」なども応募への大きな判断基準の一つです。事業の内容を具体的に記載したうえで、企業理念をわかりやすく伝え、事業を通じてどのように社会に貢献していくのかを明確にすることで、有能な人材が集まりやすくなります 。
実際に、2021年卒業の新卒者が就職先企業に決めた理由には、「社会貢献度が高い(30.0%)」や「仕事内容が魅力的(23.1%)」などが挙げられています。
福利厚生
求職者にとって、福利厚生も気になるポイントとなります。福利厚生などの待遇面は、面接などでも直接聞きづらいと感じている求職者が多いので、どのような制度があるのか具体的に記載することが大切です。
他社と差別化できる点や力を入れている取り組みや制度があれば、イラストや写真、グラフなどを使ってわかりやすくアピールしましょう。実際に福利厚生制度を利用した社員のリアルなコメントを載せるのも効果的です。
社風
求職者はリアルな会社の雰囲気を知りたいと考えています。オフィスの様子や社員が仕事に取り組む姿、休憩時間の過ごし方などをコンテンツとして載せるのも良い工夫です。
また、全社員への意識調査や、活躍している若手社員へ密着記事やインタビュー記事などもあると、求職者が入社後の自分の姿をイメージしやすくなります。「仕事へのやりがい」「働きやすさ」「会社への想いなど」が伝わる構成にすれば、求職者にとって魅力的なパンフレットに仕上がるでしょう。
社外活動
働き方改革が進む昨今、社外活動の充実が注目されています。社外活動とは、ボランティアや勉強会、スポーツや育児・介護など、仕事以外で社員が行う活動です。自由な生き方を実践できる会社には有能な人材が集まりやすくなります。
例えば、パンフレットで社外活動に積極的な社員のケースと、それに対する上司の考えなどを紹介すれば、「仕事だけでなくプライベートの充実を応援する企業」をアピールできます。
求職者へのメッセージ
企業からのメッセージは、採用パンフレットを読んでいる求職者に語りかけるように伝えましょう。先輩など実際に現場で働く人物のメッセージも必要ですが、経営層の価値観や考え方は会社のイメージを大きく左右します。そのため、社長や会長など代表者が自ら「自社への想い」「どのような人を迎えたいか」などを、飾らない言葉で語りかけることがポイントです。特定多数ではなく、たった1人の求職者を想定して話しかけるように言葉を選べば、より印象に残るでしょう。
5.採用パンフレットを作るポイント
魅力的な採用パンフレットを作るためには「デザイン」「ブランディング」「利用用途」の3つを考慮することもポイントになります。それぞれについて解説します。
デザイン
採用パンフレットは求職者にとって「企業の顔」とも言えるものです。デザインは企業のイメージを左右するので、こだわるべきポイントとなります。
表紙は受け取った求職者がまず目にするものであるため、興味や親近感を与えるための工夫が必要です。画像やイラスト、イメージカラーなどを積極的に取り入れて、どの企業のパンフレットかがわかりやすくしましょう。例えば、物語絵本のようなパンフレットを作った企業は、新入社員が増加したという効果が出ています。
パンフレット内は、コンテンツによってデザインやレイアウトを変えるのも効果的です。社内の雰囲気を紹介するコンテンツでは、画像やイラスト、おどけたフォントなどを取り入れて遊び心をくすぐると、先へ読み進めてもらいやすくなります。一方で「企業理念」など企業のアイデンティティを伝えるページでは、企業のイメージカラーや読みやすいフォントを使うなど、「想い」が伝わりやすいデザインを採用することもポイントです。
ブランティング視点
採用パンフレットの作成にあたり、忘れてはいけないのはブランディング視点です。学生に配られることの多い採用パンフレットでは「若者の受けがよく、楽しくて目立つものを」と考えがちですが、これでは企業の本質は伝わりません。
他社と差別化できる個性や価値・ビジョンなどを明確にすることで、求める人材へアピールが届きやすくなります。その結果「自社に適合する人材」「自社が求める人材」からの応募が増え、ミスマッチの減少や入社した社員の活躍などへつながるのです。
利用用途
採用パンフレットは会社説明会や就職フェアで配布されます。つまり、すでに自社に興味を持っている求職者が、さらに理解を深め納得するために使われる情報ツールです。
多くの求職者は、すでに求人サイトや自社サイトを訪問し、内容を閲覧していると考えられます。求職者がさらに自社に魅力を感じ、「この会社で働きたい」と思うような、紙媒体なっらではの深く掘り下げた情報を提供することが大切です。
6.まとめ
採用パンフレットは、求職者の入社を促すための紙媒体のツールで「自社の魅力を発信する」「求職者の疑問や不安を解消する」などの目的で作成されます。
デザイン・ブランディング視点・利用用途を意識して作成した採用パンフレットは、求職者の志望意欲を高めるだけでなく、何度も見返すことによるリマインド効果や入社後の定着率の向上などのメリットがあります。ぜひ魅力的な採用パンフレットを作成して、有能な人材を獲得しましょう。
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