就職や転職で、派遣社員を検討されている方のなかには、紹介予定派遣という言葉を一度は目にするでしょう。紹介予定派遣は一般的な派遣社員とは異なる点がいくつかあります。ここではその違いやメリット・デメリットなどをご紹介しますので、転職活動中の方で紹介予定派遣を選択肢に入れようか悩まれている方は、ぜひご参考ください。

1.紹介予定派遣とは

紹介予定派遣とは、最終的に派遣先から正社員あるいは契約社員で直接雇用されることを前提に一定期間派遣社員として就業する制度のことを言い、1999年12月施行の旧改正法で初めて制度として認められたものです。

紹介予定派遣制度の期間は一般的に3カ月程度となりますが、最長で6カ月程度まで可能です。この期間に本人あるいは企業側がこのまま引き続き一緒に仕事をしていくかどうかを考え、最終的な契約へと移行します。

2.紹介予定派遣の流れ

紹介予定派遣で働くには、まず派遣会社へ登録が必要です。派遣会社へ登録した後、派遣会社からの面談を受け、お仕事の紹介があります。もしも、その企業で働きたいとなった時には、正社員と同様に履歴書や職務経歴書といった書類の選考と面接を受けます。

書類選考と面接が通れば契約を結び、お仕事の開始となるのです。

そして、派遣の契約期間終了のタイミングで、派遣側と派遣先企業の双方でこのまま引き続きお仕事をともに続けていくのかどうかを確認し、双方に合意が得られれば社員としての正式採用となるのです。

普通の派遣との違い

紹介予定派遣は普通の派遣と違う点が3つあります。

1つ目は、派遣契約終了後に正社員として雇用をされることが前提となっている点です。派遣される側は、正社員となる前に会社の環境や仕事内容をチェックすることができますし、雇用者側は、スキルや会社に適応できるかどうかの確認、早期の離職を防ぐことができます。普通派遣には派遣契約終了後の正社員雇用という前提条件はありません。

2つ目は正規雇用を前提としているので、派遣先となる企業には派遣就業前の「書類選考」や「面接」が認められています。紹介予定派遣は、働く前に書類の準備などがあり、普通派遣のようにすぐに就業ということにはなりません。

3つ目は契約期間が普通派遣よりも短いということです。普通派遣の場合、契約の最長期間は3年間とされています。しかし、紹介予定派遣の場合は、最長でも6カ月間と働ける期間が短くなります。

3.紹介予定派遣のメリット

紹介予定派遣を利用することで、とくに正職員として今後、働いていきたいという方にはさまざまなメリットがあります。

紹介予定派遣にすることでどのようなメリットがあるのかをここではご紹介していきます。紹介予定派遣を検討されている方は必見です。

就職活動にかかる手間を減らせる

就職活動は就職先探しから始まって、書類審査、面接などの手順を経ていきますが、就職活動はなかなか手間がかかります。特に、就職先探しは自分にとって好条件を追求すればするほど、なかなか就職したいところが見つけにくいものです。

紹介予定派遣では、派遣会社が派遣先を紹介してくれます。もちろん、担当者との面談で自分の希望は伝えているので、自分にとって好条件の案件を短期間で紹介してもらえるでしょう。

就職活動のなかでも特に手間となる就職先探しの負担が格段に減り、就職活動がしやすくなることが期待できます。

入社前に業務内容を体験できる

正社員として働くのであればその職場で長く働きたいというのが本音ではないでしょうか。紹介予定派遣であれば、就職する前に業務ができるので、その会社が自分に本当に合っているかどうかを知ることができます。

仕事の内容はもちろんのこと、職場の人間関係がわかるのもメリットです。仕事内容のミスマッチだけでなく、人間関係を理由に退職をしてしまう方も多いため、入社前に関係性を見られることは早期退職を防ぐことにもつながるでしょう。

派遣会社のサポートを受けられる

派遣ではない一般の応募では、履歴書の作成や面接対策などのサポートを受けたい場合、ハローワークや学校などに依頼する、あるいは求職者向けセミナーなどへ参加するといった方法が挙げられるでしょう。一方、派遣会社では、応募書類の添削や模擬面接などを実施していることがあり、登録者は無料でこのようなサポートを受けられることがあります。

また、実際に働き始めた時に悩みや疑問を感じた場合、一般の応募で入社した人は相談できそうな人を見つけられないことも少なくありません。この点においても、派遣会社からの応募ならば、派遣期間中はもちろん正社員登用後に生じる悩みやトラブルを派遣会社へ相談でき、適切なサポートを受けられます。

紹介予定派遣はその後に社員登用の可能性がある点で、結果的に一般の正社員応募と同じようにも見えますが、応募前から正社員登用後まで派遣会社のサポートを受けられるという大きなメリットがあるのです。

4.紹介予定派遣のデメリット

メリットがたくさんある紹介予定派遣ですが、実はデメリットもあります。紹介予定派遣を検討している方はメリットだけでなく、紹介予定派遣のデメリットについても着目しておきましょう。ただし、すべてのデメリットが自分にとってもデメリットになるとは限らず、うまく活用することができる可能性もあります。

紹介予定派遣によるデメリットは3つです。

選択肢が狭くなることもある

紹介予定派遣では、派遣会社が有する求人案件へ応募します。つまりハローワークや求人サイト、求人誌などで一般公開している募集の総数と比べて、応募できる企業数が減るのです。

また、紹介予定派遣は一般の派遣と異なり、正社員登用を前提としています。そのため、「フルタイム勤務が可能」「転勤が可能」「職種の転換が可能」といった人材を望む企業も少なくありません。このような要望へ対応するのが難しい応募者は、さらに応募できる派遣先が限られてしまうのです。

このような理由から、紹介予定派遣では自分が希望する就職先とマッチングするまでに時間がかかる場合もあります。早期にマッチングしたい場合は、条件を変えるなど柔軟な対応を取って選択肢を広げましょう。

必ず正社員になれるわけではない

紹介予定派遣は、派遣期間が終了した時点で、派遣先企業と派遣スタッフ双方の同意があって雇用となります。そのため、自分が働きたいと思った会社であっても、派遣期間が満了した時点で契約打ち切りになってしまう可能性もあります。令和2年度の厚生労働省が発表したデータでは、直接雇用に結びついたケースは77％であり、すべての方が直接雇用には結びついていないということがわかります。

正社員としての雇用が前提ではありますが、必ずしも正社員として雇用されるわけではありません。正社員ではなく契約社員として採用というケースもあり得ます。

ですので、派遣期間が終わったら必ず正社員として働きたいと考えている方にとっては、希望と異なった結果となることもある点がデメリットと感じるかもしれません。

派遣中は労働条件が異なることもある

派遣先のなかには、派遣期間中は労働条件が異なるところもあります。なぜなら、派遣期間中は派遣会社の労働条件を適用し、正社員登用後は派遣先の労働条件に準ずるからです。例えば正社員登用後は、勤務時間帯や勤務地が変わる可能性も考えられます。特にこの2点はライフスタイルに大きく影響するため、正社員登用後の労働条件がデメリットに転じるかもしれません。

5.紹介予定派遣に向いている人

ここからは、紹介予定派遣を活用するにはどんな人が向いているのかをご紹介します。

就職に失敗したくない人

過去に就職に失敗した方や、職場で嫌な経験をして退職された方にとっては、職場にトラウマを抱えてしまい、次の就職は失敗したくないと身構えてしまうかもしれません。次の就職に失敗したくないと考えれば考えるほど、転職に二の足を踏んでしまうでしょう。

そんな方は紹介予定派遣を活用すれば、派遣期間を活用して職場とのミスマッチを防ぎ、就職に成功できるかもしれません。

経験が浅いので不安な人

実務経験が浅い、経験してきた職種が少ないなど、経験が浅いと転職やキャリアチェンジに支障をきたすのではないかと不安に思われるかもしれません。また、一度でも早期離職を経験している方は、職歴から次の就職が難しくなるというケースもあります。

そんな経験が浅い方でも、書類上ではなく派遣期間の仕事ぶりで評価をもらえるので、未経験あるいは浅い経験からのキャリアチェンジも叶うかもしれません。経験が浅いからこそ、紹介予定派遣を活用してみてはいかがでしょうか。経験が浅い方の転職には、紹介予定派遣はメリットになってくれるでしょう。

面接で自己アピールするのが苦手な人

人前で話すのが苦手な人にとっては、就職のための面接が苦痛に感じてしまうかもしれません。就職をするためには多くの会社が面接を必須としているので、自己アピールができずに思うように就職につながらないということもあるでしょう。

しかし紹介予定派遣を活用すれば働きぶりで評価をもらえるので、自己アピールをしなくても会社に自分をアピールできるというメリットがあります。面接が苦手、人と話すのが苦手という方は紹介予定派遣が向いているでしょう。

働きたい企業が決まっている人

働きたい企業が決まっているけれど、その企業からの募集がなかなか出てこない場合や、求人情報がハローワークや求人サイトで一般公開されていてもでは自分の条件ではマッチしない場合は、紹介予定派遣を活用してみましょう。

派遣会社が有する求人情報には、一般公開されていない求人も多数含まれるからです。そのため、希望する企業の非公開求人を派遣会社が持っている可能性があります。また、働きたい企業が求人を募集していても応募者が要件を満たしていない場合、通常の応募では一次審査で落されかねません。

しかし派遣会社を通した募集であれば、派遣会社による交渉が可能です。派遣期間中にスキルアップし、正社員として末永く貢献したい点をアピールすれば、働きたい企業に就職できる可能性が高まるでしょう。

自分に向いている仕事がわからない人

就職や転職を考えているけれど自分にはどの仕事があっているのかがわからないという方は、紹介予定派遣を活用してみるのもいいでしょう。多くの派遣会社は、応募者が登録したタイミングで初回面談を行います。この面談では担当者がヒアリングを行い、その応募者にはどのような仕事が向いているのかを見つけ出すのです。一方、自分で応募先を選ぶ一般的な応募では、無意識に業界や職種などを限定してしまい、適性のある仕事を見落としてしまうことも少なくありません。

就職あるいは転職をしたい理由なども、ぜひ相談してみましょう。ただし、自分に合った転職先を探すなら親身に相談にのってくれる転職エージェントの利用がおすすめです。自分に合った転職先を探したいと考えている方は以下をご活用ください。

福井で自分に合った転職先を探すなら親身に相談に乗ってくれる転職エージェント「LalaWork」がおすすめです。

6.まとめ

紹介予定派遣を活用すれば、普通に就職活動をしていてはなかなか出合えない求人に出合えるかもしれません。特に、過去に就職で失敗したことのある方や面接が苦手という方は、紹介予定派遣を活用すれば、正当な評価を受けられる可能性があります。働く前に一定期間業務ができるので自分が会社に合っているかどうかを知ることもでき、早期離職を防ぐこともできるでしょう。

ただし確実に正社員になれるとも限りませんし、紹介予定派遣の期間は業務内容が異なる場合もあります。これを念頭に置いたうえで、紹介予定派遣を活用し、自分にピッタリな仕事を見つけてみてはいかがでしょうか。

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